公開日: 2025年09月02日
【メキシコペソ円今週の予想(9月1日)】
*予想レンジ:7.80円~8.20円。
*メキシコペソ円は、堅調に推移しそうだ。メキシコの足元の景気は底堅く推移している。4~6月実質GDP(国内総生産)速報値は前期比0.7%増と、2四半期連続のプラス成長を記録。7月の経済活動指数速報値も前年比0.1%上昇した。6月の貿易収支は5億1400万ドルの黒字を確保した。輸出が前年比10.6%増と堅調だった。中央銀行は8月、主要政策金利を0.25%引き下げ、7.75%とした。トランプ米大統領の高関税政策により、「貿易面の緊張が大幅な下方リスクをもたらす」と警戒しており、追加利下げを示唆した。
メキシコ中央銀行は、8月7日の金融政策委員会で、政策金利を0.255%p引き下げて7.75%に決定した。メキシコ銀行は昨年3月にコロナ禍一巡後初の利下げに舵を切り、その後は小休止を交えつつ断続的に累計3.5%の利下げを実施しており、今回の利下げにより政策金利は3年ぶりの低水準となる。今回は5会合連続の利下げとなったが、6月の前回会合まで4会合連続で0.5%の大幅利下げであった一方、今会合での利下げ幅の縮小は前回の会合で示唆されており、その通りの決定となった。なお、昨年後半以降のインフレは一段と鈍化して一時は中銀目標(2.0~4.0%)の範囲内に収まっているが、ここ数ヶ月は加速に転じるとともに、目標の上限を上回っている。直近7月のインフレ率は前年比+3.51%と鈍化して3ヶ月ぶりに目標域に収まっている一方、コアインフレ率は前年比+4.23%と目標域を上回って推移している。
一方、メキシコ国経済は『トランプ関税』に翻弄されている。トランプ米政権は発足直後、同国からの全ての輸入品に25%の追加関税を課す大統領令を発令したが、直後の首脳協議を経て発動は延期された。ただし、その後は自動車や自動車部品、鉄鋼製品、アルミ製品に対する追加関税は発動されている。また、25%の追加関税についてはUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)に準拠した財を対象外とすることで合意されたが、個別財に対する追加関税は継続されている。メキシコの対米輸出額は輸出全体の8割を占めるとともに、名目GDP比で3割弱に達することから、関税引き上げによる実体経済への影響は大きい。足元では最悪の事態を回避できており、4-6月の実質GDPは前期比年率+2.72%と2四半期連続のプラス成長となるなど底堅い動きをみせている。第2四半期経常収支は2億0600万ドルの黒字だった。米貿易政策などに関連した世界的な経済の不透明感にもかかわらず、前年同期の9億1100万ドルの赤字から転換した。しかし、景気の先行きには不透明要因が多い。ただ、米ドル安を受けてペソ相場は下支えされている。
*CFTC建玉:8月26日時点のファンドのメキシコペソ買い・米ドル売りポジションは、+6万8998枚(前週比+4473枚)。
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