【NY金は4000ドル、国内金は2万円。更なる上昇も】

公開日: 2025年10月09日

【NY金は4000ドル、国内金は2万円】
*NY金(12月)は、10月7日に1オンス=4004.40ドルと、中心限月清算値ベースで初めて4000ドルの大台を突破した。翌8日のロンドン金塊相場でも、史上初めて1オンス=4000ドルの節目を突破した。この記念すべき上昇の大きな要因は、米政府が機能不全に陥っている事だろう。

*米議会では、医療保険制度改革法(オバマケア)をめぐる民主党と共和党の対立に端を発し、歳出法案が成立せず、暫定的なつなぎ予算も成立しなかったため、10月1日(現地午前0時)に米政府機関の一部閉鎖が始まった閉鎖は7日目に入り長期化が予想されている。米経済活動に混乱が生じるとの警戒感から安全資産である金の買いが加速した。金ETF(スパイダーゴールド)は、9月下旬以降、1000トンの大台を維持している。10月1日には1018.89トンと年初来最大を更新した。

*8日、イスラエルとイスラム組織ハマスが、パレスチナ自治区ガザ和平計画の第1段階となる停戦と人質解放で合意した。地政学リスクの一つが解消されるとの期待から、金相場には売り要因となろうが、米政府の閉鎖が続いている以上、大きな下落には至らないだろう。逆に言えば、歳出法案と暫定的なつなぎ予算がいずれも成立し、米政府機関の閉鎖が解除された場合、金相場にはそれなりの調整場面が訪れることは想定しておきたい。

*米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(9月16、17日開催分)によると、当局者の大半が雇用市場を巡る下振れリスクの高まりとインフレ見通しの上振れリスク双方を指摘し、年内の追加利下げが適切となる可能性があるという認識を示した。10月のFOMCでは追加利下げが予想されているが、トランプ関税によるインフレの高止まりも予想されている。

トランプ大統領は米連邦準備制度理事会(FRB)に対し、繰り返し利下げを要請しているが、インフレの高進の中で利下げを強行すれは、米国の実質金利(名目金利-インフレ率)はマイナスに転じる可能性が高まる。これは、ドル安を引き起こし、利子を産まない金にとっては更なる強材料となろう。

*NY金が4000ドルの大台に上昇し、1ドル=150円を超える円安もあって、OSE金は2万円の大台を示現した。自民党総裁選で勝利した保守派の高市早苗氏の金融政策は、金融・財政の両面で緩和的で「サナエノミクス」と呼ばれおり、追加利上げには慎重で、日本銀行による10月利上げ観測が後退する可能性が高まっている。日銀の10月利上げ見通しは大きく後退し、今後の経済指標の結果次第では年内の利上げも困難視されている。当面、円安基調は続きそうだ。OSE金予想レンジ、1万9000~2万1000円。

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